最近、時速40kmあたりから「ゴー」といううるさい異音が室内に響くようになってきました。さらに、AUTO四駆(4WD)モードに入れると、今まで以上に「ゴリゴリ」と音と振動が悪化する始末……。
「これは完全にフロントのハブベアリングが逝ったな」と確信し、まずは定番のハブベアリング交換へと踏み切りました。
1. フロントハブベアリング交換に挑戦!必要な工具と手順
さっそくジャッキアップして分解開始。幸い、固着もなくここまではすんなり外れてくれました。
ちなみに、GMT800のフロントハブ周りをバラすには以下のサイズが必須になります。これからDIYする方は工具の用意を忘れずに。
- 15mm(ハブボルト裏など)
- 18mm(キャリパーサポートボルト)
- 36mm(ドライブシャフトのセンターナット)
新品のハブアセンブリを装着していきます。
次回の固着防止とカジリ対策として、海外の整備動画でもよく見る通り各部にグリスを塗り分けて組み上げました。
- ハブボルト・接合部: スレッドコンパウンド(焼付き防止剤)
- ドライブシャフトのスプライン部: モリブデングリス
- ブレーキキャリパーのスライドピンボルト: シリコングリス
今回用意した社外品のハブベアリングはこちら。ロックオート等で買えば片側8,000円くらいとお財布に優しい価格です。
取り外した古いハブを手で回し比べてみましたが……あれ? そこまでゴリゴリ感もなく、明確な問題があるようには思えません。「嫌な予感」が頭をよぎります。
続いて右側も同じように交換していきます。
右側もサビによる固着はなく、すんなり作業完了。
なぜか右側だけキャリパーのスライドピンボルトがヘックス(六角)になっていました。左は普通のボルトだったので、歴代のオーナーの誰かが過去に片側だけ交換したっぽいです。中古アメ車あるあるですね(笑)。
クタクタになりながら両側の交換を終え、いざ期待を胸にテスト走行へ!
……うーん。
思ったほど劇的に静かになったわけではなく、四駆(AUTO)に入れると相変わらずゴリゴリ音がします。ハブベアリングは無実だったか……。
そういえば、下回りで左側のドライブシャフト(ペラシャ・デフ側)を手で回した時に、少しシャリシャリ音が出ていたのを思い出しました。それに、自分が買ってからフロントのデフオイルは10万キロ近く一度も変えていません。
ということで、次の容疑者である「フロントデフ」のメンテにシフトします。
2. 第二の容疑者:フロントデフオイルの交換へ
ロックオートで推奨オイルを調べるとモービル1が出てきます。
💡 フロントデフのオイル選び(GL4 vs GL5の噂)
「2004年以前のモデルは真鍮パーツを傷めないGL4のオイルが良い」という噂を耳にしたこともありますが、今回は以前リアデフを交換した時に余っていたトヨタ純正の「GL-5(75W-85)」をそのまま流用することにしました。GL5の時点でほぼLSD用添加剤入りのようです。このタホはフロント:オープンデフ・リア:G80です。
オープンデフはどちらでもいいのすが問題はリアです。
💡 知っておきたいタホの豆知識:リアデフ「G80」とオイル選びの罠
今回、フロントデフには余っていたギヤオイルを流用しましたが、リアデフ(後ろ側)のオイル交換をする予定がある方は要注意です。
GMT800タホのリアデフには、オプションコード「G80」と呼ばれる、通称「Eaton Locker(イートン・ロッカー)」という機械式デフロック機構が純正採用されています。片輪が空転すると内部のロックピン(ガバナカム)が作動し、左右の車軸をガッチリ直結(100%ロック)させて悪路を脱出するアメ車らしい面白い仕組みです。
ここでDIY派がやりがちなのが、「LSDが入っているから、高性能なLSD専用オイル(またはLSD添加剤)を入れよう!」という親切心。実はこれがG80を壊す最大の罠になります。
G80はロックピンが噛み合って直結する際、内部にある小さなクラッチディスクを力技で圧着させます。ここに一般的なLSD用の「滑りを良くする添加剤(フリクションモディファイア)」が入ってしまうと、肝心な時にクラッチが滑ってロックしきれなくなったり、異常摩耗して内部で粉々に砕け散る原因になります。
製造元のEaton社も公式に「添加剤は一切不要。普通のプレーンなGL-5グレードのギヤオイル(75W-90など)を使用すること」と指定しています。なかなか売っていないですが・・・
本命かつ究極の現実解:はたらく大型トラック用「商用ペール缶」を大人買いする
「マリン用は100%プレーンだけど、さすがに船用をクルマに流用するのは心理的ハードルが高い…」
「タホの巨体を支えるリアデフだから、1L缶をチマチマ買うよりガッツリ大容量で常備したい」
そんなDIYアメ車乗りに現時点で一番おすすめできる『超正論な解決策』が、日本の物流を支える10トンClassObjectの大型トラック・バス向けに開発された業務用ギヤオイル、ENEOSの「ギヤグランド(80W-90)」です。
日本の大型トラックのデフは、乗用車のようなスポーツ走行用のクラッチ板LSDなど最初から想定していません(オープンデフか、泥濘脱出用の強力な機械式デフロックです)。つまり、この手の大型車専用ギヤオイルには、G80を壊す原因になる摩擦調整剤(LSD添加剤)が一切入っていません。
それでいて、数十トンの総重量とバカげたトルクを受け止めるために、ギヤの焼き付きを防ぐ極圧添加剤は自動車用とは比較にならないほど強力にブレンドされています。フルサイズSUVのタホのデフを労わるにはこれ以上ないスペックです。
タホのリアデフは約2.5L、フロントデフは約1.5L前後を消費します。定期メンテナンスや、筆者のように「なんかデフ周りをバラす怪しいDIY」を繰り返す人間にとって、リッターあたりの単価が爆安になる20L缶の常備はコスパ最強。プレーンなGL-5難民になったら、トラック用の世界に逃げ込むのが間違いありません!
抜いたドレンボルトを見てみると、マグネットにはかなりの鉄粉がびっしり!
トヨタ純正のギヤオイルを注入します。
オイルを新調して期待したものの……結果は変わらず!
やはり音が消えません。CVシャフト(ドライブシャフト)本体か、フロントデフ内部のベアリング本体が本格的に摩耗している可能性が濃厚になってきました。
3. 追い打ちのオイル漏れ!漏れ止め剤投入とその後
そんな中、追い打ちをかけるようにフロントデフの右側からオイルがじわじわと漏れ始めているのを発見……。
内部ベアリングのガタのせいでサイドシールを傷めたのか、ただの経年劣化か。ひとまずこれ以上の出費を抑えるため、気休めを兼ねてオイル漏れ止め剤を注入することにしました。
この添加剤はオイル1Lに対して1本の割合で使用するもの。タホのフロントデフ容量は約1.9Lなので、今回はボトル半分ほどをデフに注入。これでしばらく様子を見ることに。
【追記】1,000km走行後の結果は……
漏れ止め剤を入れてから約1,000kmほど走った現在の様子がこちら。
……はい、普通に漏れてます(笑)。
異音も消えず、オイル漏れも止まらず。どうやらフロントデフの内部ベアリング、またはサイドシール自体の物理的な寿命のようです。
20万キロを突破した過走行アメ車の維持は一筋縄ではいきませんが、こうして原因を一つずつ潰していくのもDIYの醍醐味(と自分に言い聞かせる)。次はいよいよフロントデフの本格的なオーバーホールか、あるいはドライブシャフト交換か……。進展があったらまたレポートします!
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